上映会に参加してきました(山下)

3月11日に岡山県立図書館で行われた「こんばんは」上映会に参加してきました。私は東京で「岡山に夜間中学校をつくる会」のホームページ管理をさせていただいています。そのため、月2回の授業には参加できず、ボランティアスタッフの方々とも顔を合わせたことはなかったのですが、今回初めてスタッフの皆さんとお会いでき、映画はもちろん上映会の様子を目の当たりにし、本当に感動し参加できてよかったと思いました。

まず、スタッフの方々は初めて顔を合わせる私を温かく迎え入れてくださいました。普段の授業ではネームタグを首から下げているようですが、なんと私のネームタグまで作って手渡してくださったスタッフの方、そして当日は単なる参加者だった私に、会場の案内係をしてくださいと役割を与えてくださった代表、こういった行動一つからも一人一人を大切にしながら活動していることを実感でき、本当にうれしく思いました。

受付、会計、司会、音響、設営、来場者対応、その他さまざまな仕事があったと思いますが、関わったスタッフの皆さんがそれぞれ責任感を持ち、メディアや来場者対応で忙しい代表がいなくてもてきぱきと対応できていたこともスムーズな運営につながっていたと思います。

来場者数は当日までどのくらい見込めるかわからず私もとても心配でしたが、スタッフの皆さんが手分けして配布したチラシの効果もあり、ほとんど満席になるくらいの来場者が来てくださいました。

また、奇しくも3月11日という東日本大震災から7年の節目の日に上映会を迎え、黙祷から始まり、代表から、夜間中学校設立までの道のりやこれまでの活動の報告、受講生の方のエピソードなどが伝えられ、熱い想いが伝わってきました。

映画は、東京都墨田区立文花中学校の夜間学級を一年半に渡って記録したドキュメンタリーで、経済的事情などで学ぶことができなかった高齢者の方々、日本に住む外国籍の方々、なかでも引きこもりだった少年が一言も言葉を発しないながらも毎日授業に参加する様子、そして返事が返ってくることもない少年に対し常に温かく声をかけ続ける年齢も国籍もさまざまなクラスメートの様子に、人としての優しさを感じました。そして、初めて少年が教科書を読み上げることができた場面では涙が止まりませんでした。

映画の内容はもちろん素晴らしかったですが、普段、夜間中学校の活動に参加できない私は後で知って驚いたことがあります。それは、上映会には受講生の方々も数名参加されていたとのことでした。これは私の勝手な推測ですが、受講生の方々にとって自分たちと同じような立場の人が取り上げられているドキュメンタリー映画を見ることは、とても勇気のいることではないかと思ったからです。しかし、受講生の方々が自らの意志で来場したこと自体、これまで培ってきたスタッフとの絆や信頼があったからこそではないかと思いました。

スタッフの方々がサポートする側という意識でなく、「岡山に夜間中学校をつくる会」の趣旨である、「生徒さんに寄り添い、ともに学び、ともに成長する姿勢」を体現しているからこその結果だったのではないかと思います。

また、映画が終わって出口の前で来場者のお見送りをした際には、逆に来場者の方々から「ありがとうございました」とお礼を言われました。上映会を通して、夜間中学校を知っていただくことができ、私たちの活動を少しでも認知していただくことができ、上映会を開催して本当によかったと思います。

私自身、離れているからこそできることは何かを模索しながら、今後も活動を続けていきたいと決意を新たにすることができました。

(写真は、ボランティアスタッフの松下りえさんにご提供いただきました)